【新唐人2012年7月10日付ニュース】中国天津市薊県(けいけん)の商業ビルで発生した火災は、当局の情報封鎖によって正確な死亡者数も未だに分かっていません。市民の間では事件の話題さえ、当局によって禁止されています。一方、ネット上では次々と真相が暴かれ、ミニブログなどで伝い出されています。近日、政府系メディアは事故当時、ビル内には50人ほどの客しかなかったと報道し、ネットユーザーの非難を浴びています。
7月7日、“新華網”天津チャンネルが、火災が発生した天津市薊県の莱德ショッピングセンターの副総経理の話を引用。それによると、5階建ての莱德ショッピングセンターには103のカウンターがあり、70あまりのショップが入居。火災当時、ビル内には各ショップの販売員を含む120人あまりがおり、買い物客はごくわずかだったと報道。副総経理がいた5階フロアには客や従業員を含めて20人前後、ビル全体には50人ほどの客しかいなかったと報じました。
一方、その前のメディアの報道では、当日は土曜日だったため、ビル内ではセールが行われ、火災発生時は数百人が閉じ込められていたと報じました。
天津市民 王さん
「人が多かったと思います。土日以外でセールのないときは、客は多くありませんが、当日は土曜日で、セールだったから人が多かったのです。ここは薊県最大のショッピングセンターです」
6月30日、天津市薊県(けいけん)の莱德ショッピングセンターで火災が発生し、5階建てのビルが全焼。7月5日、天津市当局は公式ミニブログで、火災で10人が死亡、16人が負傷。死者の遺体は家族に引き渡したと発表しました。
一方、事情を知る人によると、死者は10人よりはるかに多く、少なくとも数十人、更には378人が死亡したとの情報もあります。また、ネット上には一部死亡者の名簿が掲載されました。
薊県(けいけん)宣伝部の李課長は我々に対し、政府側の言い分を繰り返し、行方不明者はいないと示しました。当局の言論統制と事件の真相隠蔽に言及したとき、李課長ははっきり分からないとお茶を濁しました。
深センの朱建国さんは、中国では権力が法律を凌駕し、言論の自由は全くないと嘆きます。
深セン学者 朱建国さん
「今の中国政界の伝統は、有利な情報だけ報じ、成績は誇張し、事故は隠蔽または縮小します。これは伝統です。次に、今十八大を控え、大官僚は中南海に入るのに必死で、小官僚も一緒に昇進を狙っています。大小の官僚の利益が一致したとき、実際の死亡者数は隠されるのです」
火災発生後、天津の各メディアは沈黙。記者による取材も禁止され、薊県ではインターネットも遮断されているそうです。事情を知る人によると、薊県火葬場の職員が無意識のうちに、“事故当日200体の死体が運ばれてきた”と漏らしたことで、当局に拘束されているそうです。
薊県病院の救急治療に関与した医療関係者も情報を漏らさないよう、口止めされているそうです。また、死者の遺族には61万元の口封じ料を渡され、異議を唱えると抑圧されるそうです。一般市民も事件についてうわさまたはネット上で発言しないよう警告されているそうです。
天津市民 趙さん
「何も聞かないで。私は何も知らないから。会議で知らされたけど、この事は話してはいけません。逮捕されます」
しかし、当局の高圧は市民の更なる不満を招きました。7月6日、1万人近い市民が街頭で死者を悼み、事件の真相究明を求めました。
一方、真相は次々と明るみになりつつあります。大紀元に寄せられた情報によると、当日、ショッピングセンターの室外エアコンコンプレッサーの超負荷により引火したそうです。一方、消防署は火災現場から徒歩10分のところに位置しているにもかかわらず、消防車は通報から25分後、やっと現場に到着。更には梯子やエアクッションもなく、水圧も足りなかったため、消火のベストタイミングを逃し、最終的にビルは炎に飲み込まれ、全焼。
更に驚きの行動に出たのは、ショッピングセンターの責任者。客が代金を支払わずに商品を持ち出すのを防ぐため、1階の出口を塞ぐよう命じたそうです。多くの人が逃げられず、犠牲になりました。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/坂本 ナレーター/岡崎 映像編集/工)